へんな本、へんな映画

へんな本やへんな映画を紹介します。そんなことない本や映画も紹介します。

『ひなぎく』~ゴゴゴゴゴ…なげやりシュールレアリズム~

いつも心にラブと文化を!
どうも、愛☆ここあです!


本日の映画☆『ひなぎく』(チェコ/1966/75min)
変★★★★★
シュール★★★★☆
かわいさ★★☆☆☆
色彩★★★★★
なげやり★★★★★


突然ですが皆様は「女の子映画の決定版」と言われてどんな映画を想像しますか?


私は、色彩がカラフルかつポップで可愛い女の子が泣いたり笑ったりしていてどことなくお洒落な…そうですね『タイピスト!』みたいな映画を想像します。


この「女の子映画の決定版」という謳い文句で宣伝されたチェコ映画が『ひなぎく』です。日本版の予告編ではなんだか個性的な女の子二人がカラフルポップな色彩の中お洒落なジャズに乗せてちょこまか遊び回っているような映像が流れていました。かわいい。


しかし。この映画全然一般的に定義される「かわいい」ではない上「女の子映画」でもないって私は思ってます。それじゃ売れないから日本の予告編はかわいかったのかしら。
でもこれ、ただのシュールレアリズムのやっばい映画だよ。
女の子とか男の子とか人間とか動物とかそんなことの前に、この映画はただただ芸術で革命です。やっばい。


大まかな映画のあらすじとしてはこうです。
なんとなく上手くいかない機嫌が悪くて退屈な女の子二人がいろんな罪のないイタズラをしたりちょっと暴れたりする。おじさんを困らせたり酒場で暴れたりパーティのお料理をめちゃめちゃにしたり。そんな二人の運命やいかに。


単純明快ですね。この映画はストーリーを楽しむというよりは数秒ごとに目まぐるしく変わる場面や色彩、カメラワーク、シュールなアイデアとデザイン、そしてなにより「なげやり感」を楽しむ映画だと捉えています。


この主人公二人、最初から最後までだいたいずーーっとなげやりです。監督もなげやり。観客もなげやり。私もなげやり。あ~めんどくせえ、なにもかも嫌だ、死にてえ、いや死にたくはねえけどつまんねえ~~みたいな感じでちょっとしたイタズラをするんですね。

なのでやってること滅茶苦茶だけど、変に共感する人も少しいるんじゃないかな。私は自分が機嫌悪いときにこの映画観ると自分の代わりに暴れてもらった気になってちょっと元気でます。あと監督のメタ視点ナレーションがちょっと入ったりするのでのめり込みすぎなくてすむ本当にちょうどいい映画。


この映画ほどシュールかつ投げやりかつ芸術的な映画って観たことがないです。女の子二人が滅茶苦茶やるという点だけだったら『小さな悪の華』とか『ヘイフラワーとキルトシュー』とかもそんな感じかな?とは思いますが、こんななんか昔のフランスアニメみたいなぶっ壊れ方の映画は貴重で、だからこそ長くファンがいるのかしらと。


チェコ語の響きもフランス語と日本語かけまぜたような響きで耳にちょうどいいので、なんかもうダルくなっちゃった人におすすめしたい映画でした。

あとなんか観たらわかるのですが「グゴゴゴゴゴ!ゴゴゴゴゴ!ゴオォォ~~~~ガッサガサガサ」みたいなシーンが笑っちゃうくらい投げやりで大好きです。


「こちら療養所。死ね。死ね。死ね。」


そいでは!まったね~~

ひなぎく [DVD]

ひなぎく [DVD]